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by HIT(1999.9.5)
佐藤真樹さんは、70年代後半から80年代前半にかけて、「りぼん」で活躍した作家です。いろいろ気に言った作品はありますが、強いて一つ選ぶとしたら、比較的初期の、この「星の子守歌(ララバイ)」を挙げます。この作品は、りぼん1979年2月号の別冊ふろくとして掲載された130ページの中編作品です。
佐藤真樹さんの絵は、癖のない、すっきりした絵です。華やかさはあまりありませんが、花に例えるとすみれかれんげのような、何気なく見ていて安らぐものがある絵です。特に、この作品の絵は、文庫サイズの別冊付録用ということで、細かい描写ができないというハンデをしょっているんですが、逆にそのシンプルさが、佐藤真樹さんの絵のエッセンスとなって、いい感じを出しています。
単行本(りぼんマスコットコミックス)は、新書サイズなので、発表時よりも大きなサイズに引き伸ばされて収録されています。そのため、何かスカスカして、物足りなさを覚えるかも知れませんが、元の文庫サイズですとこの違和感はありません。できれば、文庫サイズで読んでもらいたい作品です。(無理かな。私は近所の古本屋で1983年頃、50円で別冊付録を買いました。)。
お話は、保母志望の短大生、大西正美ちゃんの人形劇との出会いのストーリーです。幼い頃、離婚により父がいなくなり、父にもらったぬいぐるみのポプを生き返らせたかった(魔法使いになれば、生き返らせたのに)彼女は、人形劇にその可能性を見いだします。
劇団には、中学時代の同級生の深海君もおり、人形劇に打ち込む彼への恋心や、ライバルこずえちゃんの出現など、少女マンガのお約束のエピソードも含まれていますが、この話の主題は、恋ではありません。外国に行く父の見送り日と、病気の子供に人形劇を見せる日が重なった時に、「おとうさんの思い出を子供たちにもわけてあげたい」と、人形劇を選択する正美の心の成長なのです。ラスト1ページのカットとせりふは、20年近く経った今でも、せりふをソラで言えるほど、感動的なシーンでした。
幸せそうな正美の笑顔、そして子供たちの笑顔、劇団の仲間の笑顔...それらをバックに、セリフはこう続きます。
「ああ 心の中が
きらきら してくるわ……
こよい 女の子は……
魔法使いに なりました」
作者も、この素敵なラストシーンを描きたくて、ストーリーを展開して来たと思われるほど、完成度の高い、読んでいるこちらの心の中も、キラキラしてくる素敵なラストシーンです。
佐藤真樹を御存じの方も、そうじゃない方も、ぜひとも読んでみて欲しい作品です。
『星の子守歌(ララバイ)』りぼんマスコットコミックス(集英社・新書判)
P.S.りぼんで人形劇を扱った作品というと、太刀掛秀子さんの『まりのきみの声が』という大傑作がありますが、この『星の子守歌(ララバイ)』の方が1年早く発表されています。
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