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呪いの方程式

曽祢まさこ『呪いのシリーズ』科学(?)解説集

最終更新:[2000.10.2]
 曽祢まさこさんの代表作である「呪いのシリーズ」は,呪術師カイの物語.彼は,呪殺を請負い,その代償として,依頼者の10年分の寿命をもらいます.この特異な設定が,物語に厚みを持たせており,10年以上続く息の長いシリーズになっている一つの理由だと思います.

 でも,疑問に思ったことはありませんか?「10年分の寿命を取るってどういうこと?」,「取った寿命は,仕事のエネルギーに使うらしいけど,どこに蓄えておくの?」,「10年分きっちりと寿命を取ることができるの?」などなど.呪いのシリーズには,謎がいっぱいです.

 もちろん,正式な解釈は,曽祢まさこさんが,作品等で発表するのでしょうが,ここは一読者として,この謎の数々に科学的アプローチを試みます.皆さんも,どんどん投稿してくださいね.

by HIT [2000.10.2]




「寿命=エネルギー?」 by HIT [2000.10.2]

 「相手を呪殺する代わりに,依頼者の寿命を10年分取る」

 呪いのシリーズの根幹をなす.基本原理です.自らの命を賭けて,呪殺を依頼するという,リスク(寿命が減る)とリターン(相手を殺す)の絶妙のバランスを生み出す,よく考えられた原理です.

 しかし,相手を殺すというのは分かりますが,10年分の寿命を取るというのは,いったいどういう意味でしょう.よく考えると,答えに窮します.

 本来寿命とは,人が生まれてから死ぬまでの年数(時間)です.時間は,この世界の基本的な構成要素.アイシュタインの相対性理論によれば,空間と等価です.このような性質のある時間を特定の人物についてだけ,取ることができるとは思えません.

 つまり,「10年分の寿命を取る」というのは,「10年分の寿命に相当する何かを取る」と考えるのが妥当です.

 では何かとは何でしょう.考えられる仮説は,いくつかありますが,今回採用するのは,「寿命=エネルギー説」です.こう仮定すると,すべての疑問が説明できます.

 まず,マンガの中からヒントを探ってみましょう.

 これらのヒントから,その物は,

 というような性質があることが分かります.この性質は,物理的概念の「エネルギー」そのものです.もちろん我々の知っている「電気エネルギー」,「運動エネルギー」,「位置エネルギー」等であるはずがありません.未知のエネルギーのはずです.仮にこのエネルギーに『生命エネルギー』と名前をつけます.

 生命エネルギーと寿命は,以下の関係があると推定されます.

  1. 生命エネルギーが無くなる(または一定量を割り込む)と,その生き物は死ぬ.
  2. 生命エネルギーは,生まれた時(または5-6歳までの間)に蓄えられ,その後は,消費される方が多い.
  3. 生き物は,生命エネルギーを毎年(毎月,毎日)ほぼ均等に消費する.(若者,年寄りで差はほとんどない.)
  4. 生命エネルギーは,魂と肉体を結び付けるのに使われている.
 このあたりは,個別に解説が必要でしょう.

 まず,1ですが,これは,残りの寿命が10年以下なら,その場で依頼者は死んでしまう,という点などから,推定できます.病気だけでなく,事故等で死ぬ人も,生命エネルギーの減少が招いた結果,ということができます.多分,生命エネルギーが一定量を割ると,事故の確率が飛躍的に増える,というメカニズムになっているのでしょう.生命エネルギーがまだ豊富にあるのに,死んでしまう,というようなイレギュラーな事は,めったになく,カイ達のような,能力を持った物だけが,生き物の奥底にしまわれている生命エネルギーを,一瞬にして解放したり,一定量を抜き取ったりできるのです.

 次に,2ですが,これは,もし,エネルギーが増えることがあるとしたら,残り寿命を取ることができないからです.例えば,寿命10年分に相当する生命エネルギーをカイが取ると,即死するような人がいたとします.しかし,この人は,10年以内に,生命エネルギーを増やす可能性があったとしたら,カイは,本当は,10年以上生きる人を殺してしまう事になります.仕事に厳しい彼らが,そのようないいかげんな仕事をするはずがありません.つまり,「生命エネルギーは,(大人になったら,)使って減るだけ」と考えないと,辻褄が合わないのです.

 5-6歳までは,もしかすると,生命エネルギーが増えるという可能性もあります.上の考察から,生命エネルギーが増える可能性がある依頼者からは寿命(=生命エネルギー)を取ることはできません.呪いのシリーズで,カイが5-6歳の子供から寿命を取ろうとしたことがあるので,少なくとも5-6歳以降は,生命エネルギーは,減るだけ,と断言できます.増える可能性があるのは,5-6歳までです.

 ちなみに,もしこれが事実だとすると,人間の寿命は,生まれた時または,5-6歳までの間に決まってしまう,ということになります.「3つ子の魂100まで」といいますが,子供のこの時期には,生命エネルギーがいっぱいになるように,育てないといけません.(でも,どうやって...カイが育児書「寿命を伸ばす子育て」等でも書いてくれれば...)

 3.は,生命エネルギー量と寿命がほぼ比例していることを示しています.本来なら,若者の寿命1年と,年寄りの寿命1年に相当する生命エネルギーは,違っていても一向におかしくないのですが,なぜに同じと言い切れるのか.これは,カイ達の一族間で,生命エネルギーが,「寿命何年分」という単位で取り引きされているからです.単位である以上,どんな人から取った寿命1年分も同じエネルギー量であるはずだからです.

 4.は,常時使われている生命エネルギーは,いったい何に使われているのだろう,と考えた結果の私なりの結論です.まず,生命エネルギーを無くして,魂だけになったマリーが,100年以上,苦もなくこの世に存在していることから,魂になってしまってからは,消費しない性質であることが分かります.となると,肉体に魂がいる時だけ消費するもの...肉体の維持だけなら,我々の知っているエネルギーですべて説明できます.説明できないものとなると,魂と肉体の結び付き位なものです.という訳で,生命エネルギーは,魂と肉体を結び付けるのに使われている,という結論に達しました.

 こう考えると,別の謎も解けてきます.なぜ年寄りでも若者でも消費する生命エネルギー量が一定なのか.肉体の状態は相当に差があるのにです.魂と肉体を結び付けているため,とすれば,年齢で差がなくても,納得できそうです.

 また,恐ろしく長命なカイ達の一族は,生命エネルギーの消費量が少ないか,蓄えられている生命エネルギーの量が恐ろしく多いかのどちらかだと言えるでしょう.

 以上,総合しますと,寿命=エネルギー説の中身は,

 であると言えます.

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