境線の営業係数 1997.11.12


 ここにもアップした境線の営業状態を推測する数値(100-200)は、一畑電鉄や 若桜鉄道の数字を元に、以下のように試算しました。(一畑電鉄と若桜鉄道の数 字は94年度のもの。鉄道オタク必携本『数字で見る鉄道'96』より)
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        一畑電鉄   若桜鉄道    JR境線(HIT予想)
営業費用:
 1kmあたり 1,745万円 658万円 1,745万円〜2,618万円
(営業キロ) (42.2km) (19.2km) (17.9km)
 全 体 7億3,643万円 1億2,634万円 3億1,236万円〜4億6,862万円

営業収入:
1人あたり 285円 194円 100円〜140円
(輸送人員) (182万人) (55万人) (230万人)
 全 体 5億1,905万円 1億0,652万円 2億3,000万円〜3億2,200万円

営業係数 142 119 97〜204
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境線の推計に使った数字の意味は次のとおりです。
営業費用(1kmあたり):一畑電鉄の1〜1.5倍
営業収入(1人あたり):私鉄との運賃格差(JRが安い)、定期割引率の差(JRが安い)、
          乗り継ぎによる収入減(JR運賃は通算するので安くなる)を
          考慮して、他の私鉄より、かなり低目に設定。
          ちなみに、JRの初乗りは140円。
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 JR西労組のビラによると、営業係数が300ということです。これは、私の推計 よりも、

1.営業収入がもっと低い(客単価が低い)
か、
2.営業費用がもっと高い(設備が立派か合理化が足りない)
のですね。

 多分営業費用が高いのでしょう(一畑の2倍以上?)。一畑の線路・駅・車両の状 態と、境線の状態とを比べると、格段に違いますからね。

 以上から、駅舎等は行政が負担するとか、高性能新型車両の購入には、行政が 補助を出す等で、設備投資を抑えることが可能ですし、マンマン化の更なる推進 等で、一畑電鉄並の営業経費まで落とす事は十分可能だと思います。

 そうなれば、営業係数は130程度になりますから、あとは、利用者を3割増やす か、運賃を3割上げれば、収支が取れてしまいます。利用者を3割増やすのはなか なか難しいのですが、運賃は3割程度上げても、まだバスよりかなり安いですか ら、十分競争力があります。また、運賃を値上げしなくても、別会社として、JR との通算運賃制度を止めるだけで、簡単に黒字化します。

 実のところ、境線の黒字化は、それほど難しい事ではないのです。

 また、表を見て、若桜鉄道の営業費用が、異様に低いのに気が付かれた方もお られるでしょう。これは、若桜鉄道が恐ろしく効率的な運営を行っている訳では なく、「線路設備をまだ国鉄清算事業団から買っていない」(線路をタダで使っ ている)事から来ています。

 つまり、線路等の設備負担がなければ、鉄道事業って、こんなに安く経営でき るのです。境線が若桜鉄道並の経費で運営できれば、毎年1億円以上の黒字をたた き出す優良鉄道になっています。毎年2億円の赤字でアップアップしている一畑 電鉄だって、逆に2億4千万円の大黒字になります。

 バス事業者などは、道路を自分で持っていません。それに対して鉄道は、線路 を自分で所有して、管理しなければなりません。それどころか、固定資産税まで 取られてしまいます。同じ不特定多数が利用する交通設備なのに、この差は大き いです。
 今すぐに境線がJRから切りはなされることはないでしょうが、将来的には、必 ずやってくるでしょう。JRという企業の使命を考えれば、都市間輸送と、大都市 圏通勤輸送が主力なのは間違いないのですから。

 そうした場合、下の地上設備等は、行政が道路のように、整備し、JRや三セク 等がそれを安価で借り受けて列車を運行する(上下分離方式といいます。北欧等 で導入例があります。)。

 これがこれからのローカル線を運行するのに有効な仕組みになると思います。