不買運動の終結と新聞の使命 1997.12.19


 JR西労組のすばやい対応は、確かに良かったですね。この事件がどう決着した にしろ、労組は、所期の目的を十分果たした「勝利者」だったということになる でしょう。

 他のマスコミはさすがに、身内の新聞社ひいきですか ら、表立っての日本海新聞批判はしませんが、記事のはしばしにそうしたいとい う意図は見えますね。

 先日、市役所のトイレで、某新聞社の記者といっしょになったのですが、『良 く書けた投書だった。事件の核心をついている。』とお誉めの言葉をもらいまし た。我々は、いつも怒られてばかりの恐い記者さんだったので、意外でしたが、 他紙の記者も同じような感想を持っているんだな、と安心しました。

 毎日新聞でも指摘があったように、『署名記事のあやうさ』が表面化した事件 でした。署名を免罪符にしたかのような、今回の事件は、他紙にとっても、ひと 事ではありません。こうした事態は事前に容易に想像できただろうに、的確な対 処ができなかった事から、日本海新聞には、署名記事を使いこなす資格がない、 とも言えます。そのうち、『マスコミ学』の教科書に、この事件が載ることにな るような気がします。

 新聞社として、あの欄(鳥取発特報)は、議論を交わす場ではなく、 「言いっぱなしで、後は投書欄で好きにやってもらう」ための欄でしかないので しょう。以前、T記者が慰安婦問題の記事を書いて、反論の嵐が沸いた時も、 反論に対してT記者は一切答えず、黙殺しました。そういう欄なのだと思いま す。

 JR西労組がどういう形で終結宣言を出すのか、興味がありましたが、まさか、 新聞折り込みという形で行うとは思いませんでした。お金はかかったでしょうが、 新聞以上に真実を伝えて、非常に良かったと思います。

 記者も、新聞社も、多分、自社の持つ影響力を軽視していたのでしょう。それに気がついて、いい 方向い行ってくれれば良いのですが、今回の例をみると、悪用する可能性すらあ って、恐いです。
今回の事件は、以下の要素が微妙にまざって発生した、学問的にみても、面白い 例だと思います。

発生原因
(1)記者が行政相手などの記事で「言いっぱなし」に慣れていたこと。
(2)記者が自分の意見を補強しようと、不勉強なまま、数字の誤用をしてしまった こと。
(3)新聞社も、記事の持つ影響力を軽視し、記事をノーチェックで出してしまった こと。

こじれた原因
(4)JR西労組の抗議に対して、事態の深刻さを理解しないまま、黙殺という手法を 取ってしまったこと。
(5)メンツを重んじて、数字の誤用を最後まで謝らなかったこと。
(6)事件の異様な盛り上がりに恐れをなして、投書の黙殺という、マスコミにあら ざるべき暴挙にでたこと。

 これらを良く研究してもらって、「二度と同じ間違いは犯さない」で欲しいも のです。他紙も含めて。