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選挙は制度で決まる By HIT

1999.9.1から46951番目の訪問. 最終更新[2005.9.30]


現行「小選挙区比例代表並立制」は,欠陥制度

 2005年9月の総選挙は,連立与党の地滑り的大勝利に終わりました.小泉劇場とか,いろいろ原因は言われていますが,最大の原因は,「選挙制度」です.もし,昔の中選挙区制度のまま,今回の総選挙を行っていたとしたら,ここまでの大勝利はなかったでしょうし,「造反レッテル議員」を「刺客」によって仕留める事もできなかったでしょう.「小選挙区中心型小選挙区比例代表並立制」という世にも奇妙な制度のおかげで,連立与党は,得票を大幅に上回る議席を獲得し,なおかつ刺客等の話題議員を苦労なく国会へ送り込めたのです.

獲得議席数だけの問題ではありませありません.現行制度下での数回の選挙を経て,政党自体が変わって来てしまいました.二大政党を意図的に作り上げ,政策論争を活発にするために導入された現在の選挙制度ですが,小選挙区中心の制度に対応するため「与党と野党の政策にほとんど差がなくなり,政策論争が無意味になってきた」という逆説的な状態に陥っています.

 どちらの政党も主張はほぼ同じであれば,国民は,見た目や,パフォーマンスなど,他の事で投票するしかありません.カリスマ的なアジテーターが出現して,ナショナリズムに火を付ければ,即独裁者の出来上がり,という危険性を現在の小選挙区中心の選挙制度は持っています.

 世界的に見ても,小選挙区制度でうまく行っているのは,階級社会が色濃く残るイギリスや,政党はあってなきがごとくのアメリカぐらいのもので,日本はどちらも当てはまりません.国会が政策論争で国政の行く末を決めるものならば,もっと色々な意見を持った政党が存在しなければなりません.現在の小選挙区中心の制度ではそれは望めなくなってきています.

 選挙は,民意を国政に反映させる手段です.民意を確実に国政反映させる選挙制度は,「政党の支持率と,政党の国会内議席数が完全に一致する」制度であると言えます.10%の国民の支持がある政党は,国会内でも10%の議席を持ち,10%の発言力がある,という制度です.これは,比例代表制度によって実現できます.

 方や,選挙は「地域の代表を国政に送り込み,地域の意見を代表させる手段」でもあります.このための制度は,地域を区分して,そこから当選者を決める小選挙区(中選挙区でも可)制度によって実現できます.

 すなわち,国会には,「民意の反映」と「地域代表」という二つの側面がある訳で,この両者を組み合わせることによって,いろいろな選挙制度ができます.イギリス,アメリカなどのごく少数の例外を除いては,ほとんどの国で,この両者を組み合わせた選挙制度が採用されています.

 しかしです.日本の現在の衆議院の選挙制度「小選挙区比例代表並立制」は,両制度の利点を生かし切れていません.うまく組み合わせれば,「政党支持率と国会議席数が一致し,なおかつ地域代表を選出できる」制度となりうるのに,その努力を怠っているのです.

 当サイトでは,現状の選挙制度の問題点を指摘しつつ,これらの欠点を解消した新しい選挙制度を提案していきます.また,新選挙制度による議席シミュレーションも行います.

 皆様のご意見,ご感想をお待ちしております.

By HIT [2005.9.30]


選挙制度を論じるにあたって

 一時期、熱病のように「選挙制度改革」が叫ばれ、国民みんなが選挙制度評論家みたいになったことがありました。しかし、その実、選挙制度のなんたるかや選挙制度の恐さを知らない、自称「文化人」達が、無責任なコメントで国民をミスリードし、現在の衆議院の「小選挙区比例代表並立制」という世界的にみてもあまり例がない、へんてこな制度を導入してしまいました。
 それだけであきたらず、たった1回しかこの制度で選挙をやっていないにもかかわらず、「中選挙区制に戻せ」だの「重複立候補で小選挙区で落選した候補が比例代表で復活当選するのはおかしい。重複立候補を制限せよ。」などというトンチンカンな意見が渦巻いています。
 前者はともかく、後者の意見は、めちゃくちゃです。「候補者の顔が見えない」という比例代表制の欠点を補うために、小選挙区との重複立候補制を導入したのに、その趣旨を忘れているのでしょうか。重複立候補を禁止しても、政党はいっこうに困りません。比例代表専用の候補者を揃えればいいのですから。反面、国民は、候補者の顔がますます分かりにくくなってしまいます。そんな制度がいいと思いますか。
 それから、政界では、小選挙区で落選し、比例代表で復活当選した議員を、比例代表オンリーで当選した議員より下に見る風潮があるようですが、これも何か勘違いしています。復活議員は、その「議員名を書いた有権者が少ないながらもいる」のに対して、比例代表オンリーの議員は、「全国民の誰も、その議員の名前を書いて投票していない(政党名のみ)」のです。どちらが国民の支持があるのか、一目りょう然でしょう。
 小選挙区制と比例代表制の欠点を補うために導入された「重複立候補」制です。これを廃止または制限する(小選挙区で1/4の得票がなかった候補は、比例名簿に登載されていても、当選させない等の暴論がある)ことは、先の選挙制度改革をすべて無に帰するものです。それ位ならば、昔の中選挙区制に戻した方がまだましかも知れない、という位の暴挙です。

 考えて見て下さい。復活当選が、そんなに理不尽ですか。学園祭の役員を選ぶのに、クラスの代表投票に落ちた人が、クラブ代表で当選することがおかしいですか。クラスで1/4の得票を得られなかった人は、例えクラブ代表の資格があっても、役員になることまかりならぬ、という理屈が正しいと思いますか。

 あれこれいいたいことはありますが、結局私のいいたいことは、
「皆さん、選挙制度の問題点、利点等を知らずに、感情だけで議論する(政治家の場合には、自分に有利か不利かだけで議論する?)傾向が強過ぎます。もう少し勉強して、冷静に国の将来を担うにふさわしい国会議員を選出する方法を考えましょう。」
ということです。

By HIT(1999.5.4)


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