で、外国為替の相場というのは、古典的には、商品取引による(つまり貿易)収 支で決まります。ところが、最近は、資本取引(ようするに物を買わずに、その国 に定期預金をするなど、金融商品を買う)が巨額になってきたのと、デリバティブ (金融派生商品。説明すると長くなるので省略。)などの発達で、いまでは、貿易 だけを見ていたのでは、為替相場は説明しきれません。
資本取引の対象となる金融商品は、株、債券、預金などですが、これらは、当 然その国の経済、政治等と密接に係わっています。また、貿易による為替変動、 そして、自らが行う金融取引に伴う為替変動など、数々の変動要素がある訳で、 為替相場を読むのは、至難の技です。読めたら、多分大金持ちになれるでしょう。
国内の株に外国からの投資がある、という事は、株の世界も、為替と密接な関 係が出てきており、為替要因の分析なしには、株も読み切れません。現代は、為 替相場を通じて、世界中の市場が連動するという、考えようによっては、恐ろし い世界が出現しております。
何が恐ろしいかというと、CONANさんご指摘の世界大恐慌でも、世界中に大き な影響を与えましたが、現在は、当時よりはるかに密接に世界中の経済が結び付 いており、アメリカや日本などの主要国の経済破たんが、他の国に与える影響は、 図り知れないものがあります。下手をすると、私達は、資本主義経済の最後を見 られる幸運な(?)世代になってしまうかも知れません。
もちろん、社会の安定性の確保のため、各国政府はやっきになっていますが、 大幅な規制を加えないかぎり、民間資本の暴走を止める事は不可能でしょう。社 会主義国の崩壊で、「資本主義万能」論が飛び交う現在、国際金融に規制を加え ることに賛同する人は少ないでしょうから、規制強化は望み薄です。うーん、考 えれば考えるほど、恐ろしい状態ですね。
ところで、世界大恐慌の原因ですが、簡単にいうと、日本で1980年代後半に起 きた「バブル崩壊」と同じものです。空前の好景気にうかれ、買う人もいない商 品を造りすぎたためです。これは、「好景気により、持つ者と持たざる者がはっ きりと分化してしまい、持たざる者の市場からの脱落による『パイの小型化』現 象が発生し、商品が全く売れなくなった」ため、と見られます。日本のバブルで、 高騰した土地価格に、誰も土地を買えなくなってしまった、という状況と同じで す。