アジア金融危機はどうして起こった
By HIT(1997.9.7)


 タイ・バーツの場合には、国が、無理やりアメリカ・ドル連動相場を維持して いたのが、ここの所のドル高についていけず、連動を放棄したのが原因のようで す。最初から変動相場で、市場まかせの日本とは事情が異なるみたいですね。

 で、外国為替の相場というのは、古典的には、商品取引による(つまり貿易)収 支で決まります。ところが、最近は、資本取引(ようするに物を買わずに、その国 に定期預金をするなど、金融商品を買う)が巨額になってきたのと、デリバティブ (金融派生商品。説明すると長くなるので省略。)などの発達で、いまでは、貿易 だけを見ていたのでは、為替相場は説明しきれません。

 資本取引の対象となる金融商品は、株、債券、預金などですが、これらは、当 然その国の経済、政治等と密接に係わっています。また、貿易による為替変動、 そして、自らが行う金融取引に伴う為替変動など、数々の変動要素がある訳で、 為替相場を読むのは、至難の技です。読めたら、多分大金持ちになれるでしょう。

 国内の株に外国からの投資がある、という事は、株の世界も、為替と密接な関 係が出てきており、為替要因の分析なしには、株も読み切れません。現代は、為 替相場を通じて、世界中の市場が連動するという、考えようによっては、恐ろし い世界が出現しております。

 何が恐ろしいかというと、CONANさんご指摘の世界大恐慌でも、世界中に大き な影響を与えましたが、現在は、当時よりはるかに密接に世界中の経済が結び付 いており、アメリカや日本などの主要国の経済破たんが、他の国に与える影響は、 図り知れないものがあります。下手をすると、私達は、資本主義経済の最後を見 られる幸運な(?)世代になってしまうかも知れません。

 もちろん、社会の安定性の確保のため、各国政府はやっきになっていますが、 大幅な規制を加えないかぎり、民間資本の暴走を止める事は不可能でしょう。社 会主義国の崩壊で、「資本主義万能」論が飛び交う現在、国際金融に規制を加え ることに賛同する人は少ないでしょうから、規制強化は望み薄です。うーん、考 えれば考えるほど、恐ろしい状態ですね。

 ところで、世界大恐慌の原因ですが、簡単にいうと、日本で1980年代後半に起 きた「バブル崩壊」と同じものです。空前の好景気にうかれ、買う人もいない商 品を造りすぎたためです。これは、「好景気により、持つ者と持たざる者がはっ きりと分化してしまい、持たざる者の市場からの脱落による『パイの小型化』現 象が発生し、商品が全く売れなくなった」ため、と見られます。日本のバブルで、 高騰した土地価格に、誰も土地を買えなくなってしまった、という状況と同じで す。


HITさんにメール / 金融済生への道に戻る / 政経考現学に戻る / よみの国研究所に戻る