HITの夢の税金-消費税を消費者課税から事業者課税に

By HIT(1998.6.15)(1999.9.21訂補)

消費税が外税中心なわけ

 消費税の税額表示方式には、内税方式と外税方式がありますが、外税が大半 を占めています。

 現在、消費税の表示が外税中心になっているのは、
1.導入時に、事業者が消費者への転嫁を徹底するために、外税を希望した。
2.税率変更に対して、手間がかからない。

 という理由によります。導入当初はともかく、現在においては、2.が、大問題です。今回の税率変更で、本や書籍が外税化したのもこのためです。


消費税を新事業税に

 でも、実は、消費税は、現在消費者が払う税金ということになっていますが、 ほぼ同じ仕組みで、事業者が払う税金にする事ができます。「事業者の粗利に外 形課税する税金」(仮称:新事業税)を作れば良いのです。

[例] 「2品目だけを扱う会社で、Aは100円で仕入れて200円で売り、Bは400円で仕入れて600円で売っており、それぞれ年間1万個、2万個の販売がある。」

(1) 消費税(5%)の場合
A商品 1品あたり消費税 200円 × 5% − 100円 × 5% = 5円
B商品 1品あたり消費税 600円 × 5% − 400円 × 5% =10円

会社の年間納付税額 5円 × 10,000個 + 10円 × 20,000個 = 250,000円
会社の年間粗利(税引後) (200円-100円)×10,0000個+(600円-400円)×20,000個= 5,000,000円

(2) 新事業税(4.7619%)の場合
会社の年間販売額 210円 × 10,000個 + 630円 × 20,000個 = 14,700,000円
会社の年間仕入額 105円 × 10,000個 + 420円 × 20,000個 = 9,450,000円
会社の年間粗利(税引前) 14,700,000円 − 9,450,000円 = 5,250,000円

会社の年間納付額 5,250,000円 × 4.7619% = 250,000円
会社の年間粗利(税引後) 5,250,000円 − 250,000円 = 5,000,000円

 全く同じように見えますが、(1)の消費税は、消費者が払う税金で(事業者は、それを天引きして納入しているだけ)、1品ごとに綿密に税額を上乗せされて徴収されます。(欧米の付加価値税は、1品ごとに、送り状を発行して、控除できる税額を特定します。)

 これに対して、(2)の新事業税は、事業者の粗利の5%を納付するという仕組みですから、事業者に納税義務があります。粗利が税率分減るので、それを消費者に転化するかどうかは、事業者の自由です。また、品目ごとに計算しませんから、A商品に多く上乗せして、B商品には上乗せしない、という自由度もあります。もちろん、事業者が払う税金ですから、内税も外税もなく、税表記はできません。1品ごとに仕入れ値段を明らかにする必要がある消費税に比べて、納税の手間もはるかに少ないのも特長です。

 また、(1)の消費税では、税率変更は、すべての商品の価格改訂を伴いますから、抵抗が強いですが、(2)の新事業税では、税率変更は、固定資産税の評価替えや、法人税の控除額の変更といったレベルですから、体力のある事業者は価格を据え置き、ない所は価格転嫁せざるをえないなど、企業努力が問われてくることと思います。


新事業税は節税封じに有効

 さらに、この新事業税は、「節税封じ」に有効です。新事業税の課税対象は、見方を変えると「利益+人件費+支払利息」だからです。

 日本は、世界中でも『会社』数が多いですが、その大半が、「節税用」の会社だとも言われています。節税用会社の定義は特にありませんが、仮に「利益を出さないために運営されている法人」とすれば、分かりやすいでしょう。日本の国民は、節税や脱税に対して非常に寛大ですが、良く考えれば、節税して得た会社の利益というのは、「全うな会社」の法人税を流用しているようなものですから、国民はもっと怒ってもいいと思います。

 さて、節税の手段として代表的なものとしては、
「社長や家族に法外な賃金・報酬を支払い、利益を減らす」
「借金をして、土地等の資産を買い、その支払い利息で利益を減らす」
の二つです。法人税では、利益が出ないと課税されませんから、この方法は有効でした。しかし、新事業税は、利益を人件費や支払い利息に転嫁しても、税金自体に変化はなく、節税は無効です。強力な節税封じと言えます。新事業税を節税しようと思えば、「売上げを減らすか、仕入れ値段を上げる」しかないのですから。


新事業税の充実で、活力ある社会を

 もちろん、節税など考えない、全うな会社(ちゃんと利益を出すことを目的とした会社)に対しては、新事業税は、経費として、利益から控除されますから、ほぼ中立的に働きます。新事業税の導入で得られる増収分を、法人税の減税に当てれば、まっとうな会社ほど得をすることになります。

 この方法(新事業税の増税分を法人税の減税で相殺する)を取れば、新事業税の税率をいくら上げても、企業の利益は、一定ですから、物価に反映しません。むしろ、節税封じの増収効果(=法人税率の引下げ)が働けば、全うな会社は税負担が下がり、物価が下がる事も十分考えられます。

 逆に言えば、今まで、たくさんの節税会社のために、全うな会社の利益が損なわれていた訳です。消費者から税金をたくさん取ることを考えるよりも、こうした反社会的な会社から税金を取り、まっとうな会社や消費者に還元することこそ、国家の役目であり、今直ぐ必要な事だと思います。

 とかく消費税は、価格に転嫁させて、消費者(=個人)が払うもの、という固定概念があり、また、「所得税減税のためには、消費税アップが不可欠」などという所得税と消費税がリンクするのが当然というような半ば脅しまがいの議論がまかり通っていますが、そんな事はありません。実際に消費税を納めるのは、事業者なので、「消費税をアップして法人税を下げる」という考え方も十分成り立つはずなのです。

 この「消費税代替の新事業税」は、アメリカやヨーロッパの高名な経済学者が「理想の法人税」として主張しています。つまり、事業活動を、事業者と従業員と銀行の共同作業の結果と見て、連帯して納税する方式に移行する、というものです。この税制をつきつめると、給与所得だけの個人は、所得税がゼロになります(理想の法人税で納付済み)し、利子、配当所得も、同じ理由で非課税となります。節税はほぼ不可能ですし、徴税の手間も格段に楽(すなわち、行政コストが低い。)です。

 一気に法人税等をやめて、こうした税制に持ち込むのは難しいでしょうが、新事業税を導入し、その税率を徐々に高めて行くことで、活力ある社会(まともに汗を流す会社や人が反映して、楽をして儲けようという人や会社はすたれて行く)に移行したいものです。


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