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JR伯備線高速化委託調査/概要

最終更新:[2000.7.25]
 ちょっと古い話ですが,1999年6月頃明らかになった,鳥取,島根,岡山の3県共同によるJR伯備線高速化調査結果の詳細が一部明らかになりました.この調査は,3県が1050万円(1県350万円)を出し合って,伯備線の高速化事業の整備方法を検討するもので,1998年度事業として,JR西日本系のコンサルタント会社「JR西日本コンサルタンツ」に委託して調査した結果です.

 各県の1999年5月議会に報告された他,地元の新聞,テレビ等でも報道されました.


内容 by HIT [2000.7.25]

(鳥取県の公表資料による)

調査区間 岡山-西出雲間224.2km

高速化手法別整備方法等詳細

1.在来線方式
(1)整備方法
 a 最高速度の向上  120km/h→130km/h
 ・木枕木からPC枕木への交換等
 ・130km/h運転可能な距離は,調査区間で延べ約27km
  山陰線 伯耆大山-出雲市 10km
  山陽線 岡山-倉敷     9km
  伯備線 新見-伯耆大山   6km
  伯備線 倉敷-新見     2km
 b 曲線通過速度の向上
 ・現行より15km/hアップ (最大+20km/h→+35km/h)
 ・PC枕木化,カント向上,緩和曲線の延伸等
 ・曲線約60か所(延長17km)の緩和曲線を延伸
  伯備線 倉敷-新見     9km 32か所
  伯備線 新見-伯耆大山   6km 20か所
  山陰線 伯耆大山-出雲市  2km 11か所
 c 駅構内通過速度の向上
 ・一線スルー化,ポイントの高速化等
 ・48駅の内21駅を改良
(2)概算費用 約280億円
(3)短縮時間 約12分 (岡山-出雲市間 現行2:46 →2:34)
(4)その他
・新型車両の概算費用
 約2〜3億円×60両=120〜180億円
・新型車両導入のみの場合の時間短縮は約2分

2.フリーゲージトレイン方式
(1)整備方法
 a アプローチ新設
 ・アプローチの考え方
  場所を特定しないで,新幹線と在来線が直ぐ接続できると仮定して事業費
  を算出(アプローチ延長約2.5km)
 b 在来線方式と併用
  在来線方式の高速化事業を同時に行う.
(2)概算費用
 a アプローチ新設 約240億円(一般的なアプローチ費用のみ.用地費除く.)
 b 在来線高速化 約280億円
 計 約520億円
(3)短縮時間
 a 直通効果 約5分(現行乗換9分 停車2分 ゲージ変換2分 9-2-2=5)
 b 在来線高速化 約12分
 計 約17分
(4)その他
 a アプローチの接続位置により,必要な延長,事業費が異なる
 ・岡山以東にアプローチを新設(東側案)
  * 四国方面への乗り入れが可能
  * 博多方面への直通困難
 ・岡山以西にアプローチを新設(西側案)
  * 四国方面へは別途アプローチが必要
  * 博多方面への直通が可能
  * 東側案に比して,新幹線と在来線が離れている
 b 在来線高速化を併用しなければ効果はわずか.
 c 車両開発等に関する留意点
 ・開発中のフリーゲージトレインは,振り子式でない.
 (振り子式を導入しなければ,伯備線の走行速度は現行よりも遅くなる.)
 ・既存新幹線との併結運転の可否は不明
 ・新幹線乗り入れ可能本数,可能時間帯は不明

3 ミニ新幹線方式
(1)整備方法
 a アプローチ新設 フリーゲージトレインと同規模のアプローチが必要
 b 在来線の改良
 ・標準軌方式 新幹線と同じ標準軌に変更
 ・三線軌方式  在来線の片側に標準軌道を敷設
 ・四線軌方式  在来線の両方の外側に標準軌道を敷設
(2)概算費用 約1,200億円+α
 (秋田新幹線のkmあたり事業費5億円/kmから算出)
 αの要素
 ・複線用アプローチ新設工事(秋田新幹線は単線)
 ・山陽線,山陰線は標準軌と狭軌の両方の工事が必要(秋田は標準軌が主)
(3)短縮時間 約24分(秋田新幹線の例から試算)
(4)その他
 a 標準軌方式
 ・当該区間のみ標準軌への変更は困難
  * 山陽線,山陰線で運行している車両の標準軌用変更が必要
  * 貨物列車の廃止
 b 三線軌方式
 ・軌道中心がずれるため,ホームやトンネル等の構造物の改修が必要
 c 四線軌方式
 ・曲線で十分なカントをつけることができないため,現行より曲線通
 過速度が遅くなる.
 ・実用化の例はなし.
 d その他
 ・工事期間中列車の運休,バス代行輸送必要.
 ・車両基地,指令設備の改修必要.
 ・秋田,山形では列車の運休中に踏み切り改良に伴う立体交差事業,駅
 前広場整備等の関連事業の実施

4 参考手法(別線短絡ルートの新設)
(1)整備手法
 急曲線区間の一部を新ルートとする(新見-江尾間)
 ・約34km全区間を別線トンネル,全線130km/h化
  区間距離(約54km→約34km)
  平均速度(約73km/h→約130km/h)(実際の列車は130km/hを下回る)
(2)概算費用
 約700億円〜約1,000億円(平均的施工単価:20〜30億円/kmから算出)
(3)短縮時間 約28分(44分→16分)
(4)その他
 a 地質調査を行っていないため,工事可能かどうかは不明
 b 複線化・駅・行き違い設備を設ける場合は,費用が増加する
 c 事業費,短縮時間は,単純に試算.
 d 既存ルートの廃止問題を整理する必要あり.

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資料入手の経緯 by HIT [2000.7.25]

 2000年4月1日から,私の住む米子にも鳥取県の情報公開窓口が出来たので,例の三県合同調査報告書の公開を請求しようと窓口に出向いたところ,A4判3ページの公表資料でよければすぐにあげる,と言われて,もらった(3ページ*20円=60円のコピー代を払いましたが)のが,この資料です.どうも,記者発表資料か,議会向け資料みたいです.鳥取県では,最近の記者発表資料は,すべて情報公開コーナーに同じものが置いてあり,誰でも閲覧できて,誰でもコピーできます.

 調査報告書(110ページ位あるらしい)自身も,ちゃんと公開請求して,開示を受けましたので,別項で説明します.皆さんも,行政の持っている情報で不明なことがあれば,情報公開制度(全県にある.国も2001年4月から実施される.)を利用して手に入れるといいですよ.

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資料へのコメント by HIT [2000.7.25]

1.積み上げ試算さるているのは,在来線高速化のみ.他は,推計的なもので,精度は低い.

 フリーゲージトレインが,まだ不確定状態なので,仕方ないかも知れませんが,他の手法の推計方法は,非常に簡単なものです.

 その結果,ミニ新幹線によるスピードアップが,在来線高速化に比べて大き過ぎるというような矛盾が生じています.在来線高速化は,ち密な積み上げ方式,ミニ新幹線は,秋田新幹線のデータを単純に適用したもの.もちろん,在来線高速化のデータの方がはるかに精度が高いです.ですから,本当にミニ新幹線方式で整備したとしても,この試算のような時間短縮は,絶対に有りえないと思われます.

2.旅客転移や旅客誘発は試算していない

 費用と時間短縮までの調査のようです.まあ,高々1050万円の委託料では,ここまでか?

3.振り子式フリーゲージトレイン前提の試算である.

 時間短縮の基礎は,振り子式フリーゲージトレインが導入されるという条件で出されたものでした.振り子式でないフリーゲージトレインは,伯備線には効果なしということでしょう.

4.新在のアプローチの場所は未定.

 アプローチ費用は,場所未定で仮に計算したものでした.しかも用地代抜きです.JR用地でなければ,買収費用が上乗せされます.

5.短絡新線も検討していた.

 在来線高速化での短縮時間はたったの12分.更なるスピードアップを狙って,短絡新線も一応検討したみたいです.しかし,地質調査を行った訳ではない(1050万円の委託料じゃ当たり前?)ので,実現の可能性は不明です.実現するといいですけどね.

6.山陰線(安来-益田間)高速化事業で一部先行整備されたのか?

 この資料によると,山陰線(伯耆大山-出雲市)の在来線高速化整備は,以下の通りです.

(1)130km/h化のための直線の枕木化等 10km
(2)曲線のカント向上 不明
(3)曲線のPC枕木化 不明
(4)曲線の緩和曲線の延伸 2km 11か所
(5)駅構内の1線スルー化等 不明

 (1)はともかく,(2)-(5)は,現在整備中の山陰線(安来-益田間)高速化事業とダブる可能性が高いです.山陰線高速化で整備されてしまえば,伯備線の高速化事業の際の整備費用を省くことができるかも知れません.

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