フリーゲージトレイン四国方面の採算性試算By HIT(1998.8.28)


 今回、伯備線の試算ほど資料が集まり ませんでしたので、かなり荒らい試算となっています。荒いといっても、採算が 悪くなる方に荒らい試算となっていますから、採算性を見るには、十分だと思い ます。

目 次
※試算の前提
I.四国方面の現状
II.経費試算
III.所要時間試算
IV.航空からの旅客移転数試算
V.増収額試算
VI.採算性試算
VII.まとめ


※試算の前提

(1)岡山駅近辺に軌間変更装置を設け、新大阪-高松、松山、高知各方面を直通運 転する。(新大阪-松山・高知は1日15往復、新大阪-高松は1日16往復運転)
(2)直通列車は、新幹線軌道上300km/h、在来線130km/hの最高速度を有し、在来 線では、振り子運転する。(在来線通過速度は、現状を下回らない。)
(3)宇野線・岡山-茶屋町間を複線化する。
(4)高知方面直通のため、土讃線・琴平-高知間を電化し、ついでに最高速度を 130km/hに引き上げる。
(5)軌間可変列車の直通運転による旅客増加は、航空からの移転のみを考慮する。 (高速バスからの移転、自家用車からの移転は考えない。)
(6)実現は、2005-2010年程度を予定

I.四国方面の現状

1.旅客流動調査数値
1995年度旅客地域流動調査(運輸省運輸政策局情報管理部編)より
[JR定期外] (単位:万人)
 東京以北東海信州近畿北陸岡山山陰広島山口九州
徳島県3.63.4312.916.8710.666.3853.84
香川県41.6326.06195.16248.6537.2925.24574.03
愛媛県20.7812.4876.0336.264.033.71153.29
高知県6.164.5121.8613.936.331.6154.4
※東京以北...北海道、東北地方、関東地方、新潟、山梨
※東海信州...長野、岐阜、静岡、愛知、三重
※近畿北陸...近畿地方(三重を除く。)、富山、石川、福井

2.四国各線の方面別利用者推計割合

 東京以北東海信州近畿北陸岡山山陰広島山口九州
高松方面・徳島県75%94%94%94%94%94%
高松方面・香川県55%69%69%69%69%69%
予讃方面・香川県15%19%19%19%19%19%
予讃方面・愛媛県85%100%100%100%100%100%
土讃方面・徳島県5%6%6%6%6%6%
土讃方面・香川県9%12%12%12%12%12%
土讃方面・高知県90%100%100%100%100%100%
※県内を複数の方面に分割した徳島、香川両県は、以下の区分による地区別の 人口比による。(1995年3月31日現在住民基本台帳人口)
 なお、香川県の土讃・予讃共通分は、両方面で折半。
※徳島県...土讃方面(三好郡)、高松方面(その他)
※香川県...土讃方面(善通寺市、多度津町を除く仲多度郡)、
 予讃方面(三豊郡、観音寺市)
 土讃・予讃共通(宇多津町、丸亀市、多度津町)
 高松方面(その他)
※東京方面は、寝台列車利用者を控除。(年間13万人を想定)

3.四国各線の方面別利用者推計 (単位:万人)
1.の数字に、2.の割合を掛けて集計した数字です。

 東京以北東海信州近畿北陸岡山山陰広島山口九州
高松方面25.621.2146.8187.435.823.4440.2
予讃線23.917.4113.183.511.18.5257.6
土讃線9.57.846.144.811.45.0124.6
四国計59.046.5306.0315.758.336.9822.4
7.2%5.7%37.2%38.4%7.1%4.5%

4.航空利用者数(1996年度。大手6社のみ。単位:万人)

 東京名古屋伊丹関西福岡
高松103.4 12.39.23.9128.8
松山122.114.958.139.315.8250.2
高知68.711.857.128.611.5177.7
四国計294.226.7127.577.131.2556.7

II.経費試算

 高松方面予讃線土讃線
工事費用
電化高速化・キロ数  126.6km
電化高速化・単価  1.5億円
電化高速化工事費  189.9億円
宇野線複線化工事費34億円33億円33億円
地上設備(20年)
軌間変更25億円25億円25億円
新型車両製造費
1編成当両数6両9両6両
必要編成数7編成9編成9編成
製造単価(1両)4億円4億円4億円
総製造費168億円324億円216億円
費用総計
工事費用34億円33億円223億円
地上設備(20年)25億円25億円25億円
車両費用(15年)168億円324億円216億円
合計227億円382億円464億円
 工事費用中、宇野線複線化(総額100億円)と、軌間変更装置(総額100億円) は、それぞれ3方面(高松、予讃、土讃)、4方面(高松、予讃、土讃、伯備)で 均等割にした額を計上しています。

 また、車両代は、本来、現在使用している車両の残存価格とか、更新費用 を控除すべきですが、面倒なので、控除してありません。その分、採算性は 悪く出てくるはずで、実際の採算性はもっと良くなるでしょう。(現在使用 している車両が売れれば、丸もうけ。)

III.所要時間試算

 高松方面予讃線土讃線
各地-岡山・到達時間
最速列車0:532:282:07
短縮時分0:020:020:12
距離72.1km214.4km179.3km
評定速度81.6km/h86.9km/h84.7km/h
各地-新大阪・到達時間0:48新大阪-岡山と想定
最速列車1:413:162:55
 土讃線以外は、特段に高速化工事をする訳ではないので,高松、予讃方面 は、宇野線の複線化(130km/h化?)による短縮(2分と想定。自信ありません) だけです。

IV.航空からの旅客移転数試算

近畿対四国の鉄道vs航空比率
 現状鉄道整備後 
 鉄道航空時間鉄道航空増加人数
高松87%13%1:41100%0%21.5万人
松山54%46%3:1675%25%44.8万人
高知35%65%2:5575%25%52.8万人

 高松予讃土讃
輸送人員(区間別)
新大阪-岡山168.3万人199.2万人116.1万人
岡山-各地168.3万人302.3万人177.4万人
必要車両長(15往復)4.6両8.2両4.8両
鉄道整備後の時間は、新大阪-高松、松山、高知間の最速列車の所要時間。
鉄道整備後の鉄道・航空比は、所要時間の似通った他の地区の数字を適用。

 各方面合計で、年間119.1万人の旅客が、航空から鉄道に流れてくると予 想されます。

V.増収額試算

 高松方面予讃線土讃線
航空旅客転移効果(年間)
対象21.5万人97.4万人85.7万人
移転数21.5万人44.8万人52.8万人
増収分単価
航空移転6,500円8,000円8,500円
特急化800円  
直通料(1回) 300円300円
運賃アップ対象(現状・年間)
新幹線乗換(東方面) 154.4万人63.4万人
特急化146.8万人  
増収効果(年間)
運賃アップ0.0億円4.6億円1.9億円
航空移転14.0億円35.8億円44.8億円
特急化11.7億円  
年間収支改善額計25.7億円40.5億円46.7億円
JR投資利回り(全体)11.33%10.59%10.08%
 直通料は、山形、秋田両新幹線の例から300円程度と想定しました。また、 この計画では、岡山駅在来線ホームに入線する予定なので、直通料は、東方面 (大阪方向)からの利用者からのみ徴収することとしています。

VI.採算性試算

 高松方面予讃線土讃線
地上設備返済(20年)-1.8億円-1.8億円-1.8億円
車両費用返済(15年)-15.1億円-29.1億円-19.4億円
差引改善額(年間)8.9億円9.6億円25.6億円
インセンティブ額1.8億円1.9億円5.1億円
建設費等JR負担可能額
インセンティブ無154億円166億円442億円
インセンティブ有123億円132億円354億円
返済完了年数
インセンティブ無4.2年3.8年10.9年
インセンティブ有5.4年4.8年14.6年
※金利計算は、年利4.0%で試算。 ※インセンティブ無は、経営改善経費のすべてを事業の返済に当てた場合、
 有は2割を儲けとしてJRが留保した場合

VII.まとめ

 予想通り、四国は3方面とも、1円の公費を投入しなくても、実施後の旅客 増で、十分ペイできてしまいます。投資の回収にかかる年数は、一番悪い土 讃線でも、15年以内、一番良い予讃線では、5年以内に回収できてしまいま す。

 現在、宇野線の複線化事業が「採算に合わない」と暗礁に乗り上げていま すが、フリーゲージトレインの導入を前提とすれば、何なくペイするという 試算が出ました。フリーゲージトレイン自体の実現性の問題はありますが、 もし、実現すれば、真っ先に導入されてしかるべき路線だと思います。


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