今回の一連の境線騒動(注:日本海新聞「境線廃止論事件」)で、ひとつ収穫がありました。「境線の営業係数」が分かったことです。
労組が何回か配ったビラや、他の新聞(日本海には載らない)に語った記事から「境線の営業係数は、300台前半」のようです。うーん、意外と悪いですね。私は、日本海新聞への投書(まだ載らない)の中で、境線の営業係数は、「悪くても200程度」と書いたんですけどね。予想がはずれました。
境線の経営状況を「営業係数300」を前提に予想してみました。(境線の輸送人員は95年度のもの。『鉄道ジャーナル97年1月号』より。一畑電鉄と若桜鉄道の数字は94年度のもの。『数字で見る鉄道'96』より)
一畑電鉄 | 若桜鉄道 | JR境線 | |
---|---|---|---|
営業費用: | |||
1kmあたり | 1,745万円 | 658万円 | 5,242万円 |
(営業キロ) | (42.2km) | (19.2km) | (17.9km) |
全 体 | 7億3,643万円 | 1億2,634万円 | 9億3,840万円 |
営業収入: | |||
1人あたり | 285円 | 194円 | 136円 |
(輸送人員) | (182万人) | (55万人) | (230万人) |
全 体 | 5億1,905万円 | 1億0,652万円 | 3億1,280万円 |
営業係数 | 142 | 119 | 300 |
赤字額 | 2億1,738万円 | 1,982万円 | 6億2,560万円 |
うーん、営業費用が、山陰の他の私鉄に比べて多いですね。私が、「悪くても営業係数200」と思ったのは、キロ当たり営業費用を、一畑の2倍程度と思っていたからなんですが。
参考までに、新幹線を持たない、JR三島各社のキロあたり営業費用を試算しますと、以下のようになります。(94年度の数字。『数字で見る鉄道'96』より)
旅客営業キロ | 営業費 | キロあたり営業費用 | |
---|---|---|---|
JR北海道 | 2,622.7km | 1,328億円 | 5,063万円 |
JR四国 | 855.8km | 498億円 | 5,819万円 |
JR九州 | 2,100.7km | 1,627億円 | 7,745万円 |
駅が多いからか、合理化が足りないのか...。
ちなみに、キロあたり営業費用を一畑並に抑えれば、境線は黒字になります。