米子空港滑走路延長は、東京便存続のために必要

By HIT 1997.10.23(1999.7.22一部改変)
 米子空港は、現在の2000mの滑走路を2500mに延長し、大型ジェットを就航させる計画があります。これに対して、「空港の滑走路延長は、不必要」という論もありますが、滑走路延長をしないと大変なことになるということを説明してみたいと思います。

 滑走路延長に反対する人の大体の意見は、以下の意見のに集約されます。
「米子空港の利用は現状で十分。国際線などは、2時間弱で行ける岡山空港を活用し、今後の新規路線は、小型機によるコミューター路線に限るべきだ。」という論です。

 なるほど、滑走路延長を国際化のため、という県の説明をまともに聞けば、そういう結論もありうるでしょう。現状でも、東京便(年間30-40万人)の需要には対処できますし、国際線だって、ジャンボクラスの就航は望むべくもないのですから。世界的にみても、周辺人口を入れても40万人程度の都市圏の空港は、2000mもあれば十分だと思います。


 しかし、この論には、重大な欠点があります。日本の航空需要、空港事情の特殊性が考慮されていません。日本の特殊性とは、以下の通りです。

(1)地方と東京を結ぶ路線に旅客が集中している。
(2)東京圏の空港はバンク状態である。

 (1)は、東京一極集中と批判されますが、交通実態がそうなっている以上、仕方ありません。(2)についてですが、国内線の枠(羽田空港)の問題もさることながら、国際線の枠(成田空港)が満杯なのも相当に頭の痛い問題です。

 1997年の3月に、羽田空港の沖合滑走路が供用開始になり、羽田空港の離発着枠が増え、更に2000年に40便(往復ベース)増えることで、供給不足は解消した、という人がいますが、それは大きな間違いです。航空需要は、そんなに甘いものではありません。

 一般に、旅客需要は、経済成長率との相関が高く、概して成長率よりも高い伸びを示しています。(だいたい経済成長率の3倍程度)いかに日本が低成長時代に突入して、今後年率1-2%程度のGDPの伸びとなったとしても、毎年3-6%程度の航空需要の伸びが見込まれるのです。

 たった3%というなかれ。10年で34%アップ、15年で56%もの需要アップになるのです。15年後には、成田、羽田クラスの巨大空港を、東京圏にもう一つ作らないといけないのです。見込まれる総事業費は、2-6兆円、想定工期は、20年-30年程度でしょうか。

 となると、すでに東京圏第三空港に着工していないと間に合わないことになりますが、ご承知にように、東京圏第三空港は、まだ着工されていません。アメリカ軍横田基地の返還でもあれば、もう少し早く整備できるかも知れませんが、1日20-30便程度の発着しかない軍用基地と、東京圏の基幹空港として、1日300便以上の発着が見込まれる空港では、騒音対策(民家等の移転補償費等)、旅客の移動交通手段の確保など、相当の整備費用が必要です。やはり、一朝一夕でできるものではありません。

 となると、東京圏の空港逼迫は、必ずやってきて、日本経済に大きなダメージを与えます。1991年頃、北海道方面の航空需要逼迫があり、発売即満席で、ビジネスマンが出張できず、北海道の経済活動が大混乱に陥った事がありますが、全国規模で同様な障害が起こりそうです。


 対処方法は以下の通りです。

(1) 新幹線整備を進め、航空需要をそちらに逃がす。
(2) 地方空港をすべて2500m化して、1機当たりの輸送量を増やす。

 (1)は、「まさか」、と思われる人も多いでしょうが、実は、ヨーロッパでは、一般的なシナリオです。話すと長くなりますから、別に項を起こすとして、一つだけ言っておきますと、東京圏第三空港を作る2兆円のお金があれば、整備新幹線4線(東北・北海道<盛岡-札幌>、北陸<長野-金沢-新大阪>、九州<博多-西鹿児島>,長崎<博多-長崎>)をすべてフル規格で、6-7年で完成させておつりがきます。どちらが日本のためか、良く考えるべきです。

 (2)は、国際的な標準からみれば、相当な無駄ですが、でも、一空港200億円かかるとしても、1兆円そこそこで、地方空港を50か所2500m化できます。既存空港の延長ならば、工期も10年程度で出来そうですから、期間的にも間に合いそうです。

 これにより、すべての東京-地方空港便がジャンボクラス(450-550人乗り)になった場合の羽田空港の容量は、現在の1.5倍になりますから、年率3%アップ・シナリオの15年後の需要をなんとかギリギリさばける計算になります。(もっとも、それ以降の増加はどうやってもさばけませんが。)

 以上、見てきますと、地方空港の2500m化は、おそかれ早かれ、必定となります。もし、2500m化を拒否する空港は、即座に東京便の廃止なり、便数の減少が行われると見ていいでしょう。

 こう考えると、2500m化を拒否して、コミューターのみで生き残るというのは、「現在ある東京便を捨てる。」という判断と同一です。なるほど、国際線や沖縄、札幌などの観光路線なら、2時間弱で行ける岡山空港で代替可能でしょう。しかし、ビジネス路線の東京便を廃止もしくは、減便して、残りを岡山空港に頼るということは、この地域が陸の孤島と化すことは間違いありません。米子市が進めるコンベンション都市も、東京便がなくなれば、絵に書いたモチです。


 以上、総合すると、「滑走路延長は、東京便存続のために、絶対必要。」という事になります。
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