1994.11.08米子のまちづくりイメージ


「よみの国」に『産むなら米子へ』が加わって、厚みを増してきました。「あるーく都市」の『スーク』は海外旅行経験豊富なうちの奥さんのアイデアです。


1.情報交感都市
〔意味〕
 情報を真に必要な人に伝え、それが基で、何か新しいものが生み出されて始めて役に立つものとなる。
 したがって、単なる情報伝達や情報交換ではなく、皆が情報への感度を高くし、お互いに感じ合うことによって、より多くの付加価値を生み出す「交感」都市を実現する。(交感……両方が触れ合って感じること)
〔なぜ?〕
 情報化は、21世紀の重要なキーワードであり、また、情報産業は、21世紀の日本の基幹産業を担うと考えられている。「日本版情報ハイウェイ」も21世紀前半には確実に完成するであろう。
 しかし、強力なネットワークの誕生は、日本全体を今以上に均質化し、地方は中央制作の「マルチメディア」ソフトを消費するだけ、という「情報植民地」に成り下がる可能性も高い。
 そうならないためには、地方も、情報への感度を増し、消費するだけでなく、生産も行う必要がある。
〔具体的なイメージ〕
○人材育成のために
 ・子供たちに、想像力を豊かにする教育と、感動を味わうことの出来る施策を。
 (一番難しい?)
 ・付加価値の高い情報集団への援助
    付加価値の高い情報集団……例えば趣味のグループ(障害や年齢を越えた仲間)   の情報交感の援助
 ・情報交感ボランティアの育成
    情報を収集し、発信することを中心となって行う人を育成し、社会的な役割を与   える。  →→ 「マニア」、「オタク」の活用
○国際交感
  日本の中で特異なアイデンティティを発信する手っとり早い方法は、外国を持ち込むことである。それも思いっきり変わったところ(中近東や中央アフリカ、アンデス等)と姉妹都市を結び、マルチメディアを通じて市民レベルで情報交感を行う。その国についての日本でのオーソリティともなれば、米子に足を運んでくれる人も多くなる。
 [例]大山にコンドルを放つ
○マルチメディア時代の行政サービスの高度化
 ・行政情報等をいち早くデータベース化して市民や地域外住民に提供する。
 ・「インターネット」を通じて行政情報のデータベースを公開する。(世界中の地方自治研究家の基礎資料となりうる)

2.あるーく都市
〔意味〕
 自動車に頼らない「歩く」ことを基調にした都市を建設する。
〔なぜ?〕
 にぎわいのある町の「にぎわい度」というものを定義してみる。
「人と人が顔を合わせる確率」
 この定義に従うと、家に閉じこもったまま人はカウントされないのは勿論のこと、車での移動中も、カウントされない(車が多いのは混雑であって「にぎわい」ではない)。
 したがって、まずは人がまちに出ることであるが、まちに出る手段を車から「歩く」に変えていく必要がある。
〔具体的イメージ〕
 なぜみんなが車に乗るかというと、車が便利だからである。人を車から降ろすためには「車より便利な交通手段の確保」と「歩くのが楽しい場所づくり」が必要である。
(裏ワザとして「車を不便にする」という手もある。)
○地域内公共交通機関の整備
  移動中にも、他人の顔が見れる公共交通機関は、にぎわい度を高める。また、交通弱者への移動機会確保も高齢化社会を控えて急務である。
 ・鉄道
   運転間隔の縮小(15分〜20分間隔)
   終電車の時刻繰下げ(23時〜24時30分程度)
   新駅の設置
   乗換の利便性の向上
    (バスや自転車、自家用車からすぐに乗り換えれるレイアウト)
   駅周辺の整備
    〔例〕えるもーる駐車場ビル〜境線富士見町駅〜しんまち天満屋間を歩き易く
 ・バス
   バス専用レーンの設置(交通量の多いところこそ!)
   バスの小型化
   ローステップ車の導入(お年寄りでも乗りやすく)
   フリー乗車区間の設定
   市内均一料金
   無料送迎バスを路線バスに代替え
   循環バスの運行(適当な頻度の確保)
   最終バスの時刻繰下げ(22時30分〜23時程度)
 ・自転車
   駅等に自転車レンタル(定期利用もOK)
 ・新交通システム(?)
   米子程度の輸送ならば路面電車が最適。
〔例〕米子駅前〜市役所前〜公会堂前〜わこう前〜皆生温泉〜皆生大橋〜東米子駅前
 ・公共交通機関どうしの連携
  鉄道とバス、路面電車相互間の乗換に対して、割引制度を導入する。
○地域外交通の整備(車以外)
 ・伯備線のミニ新幹線化(東米子駅の整備)
  フル規格の新幹線は、山陰では絶対無理。伯備線のミニ新幹線化がベスト。
  山陰本線と伯備線の交点である伯耆大山駅は、交通の要衝となる。
     → 伯耆大山駅を東米子駅と改称して整備する必要がある。
○空港の整備
 中海圏に2つの空港の共存は無理。(50km以内に2つの空港がある例は他にない。他の最小は青森空港と三沢空港の75km。)小松空港に負けて廃港になった福井空港(50km離れている)のような目にはなるかも。出雲空港を廃港に追い込む自信がなければ、中央の松江近辺(本庄工区?)に鉄道乗り入れの3千m級の新空港を作って、米子も出雲も廃港にする「刺し違え」を狙うしかない。(東京便1日8便なんて幹線だぜ!)
(米子空港の跡地は、牧場にする。)
○歩道の高度化、美化
○歩いて楽しい美しい町並みの実現
 ある程度の強制力を持たせて実施(ヨーロッパの先進事例)
○道路に星座の名前を付けて整備する。
 米子の米は八十八。星座の数も88。88の通りにそれぞれ星座の名前を付け、星座名にちなんだ施設、表示等を順次整備していく。
○家から余り出ないお年寄り、幼児、障害者の人をまちに引っ張り出す工夫
・ノーマライゼーションの概念の浸透等→高齢者や身体障害者、幼児にやさしいまち
・年齢、性別、趣味等を越えた人たちが(集まらなくてもよいから)すれ違えるまち
   「高齢者ファッション・ショー等」を路上で開催する。
○ゾーニングによる車の乗り入れ制限
・路線バスを除く車両の乗り入れを制限する。
・地域外の人は公共交通機関を利用するか、郊外に設けた無料駐車エリアから徒歩なり、公共交通機関に乗り換えて来てもらう。
○スーク(市場)の整備
 車進入禁止の空間(100m×100m程度)に迷路状に狭い道路を整備(?)し、その中に細かな商店を無数に張りつける。「一度入ったら二度と出られない」ようなゴミゴミしたまちづくりは、きっと「にぎやか度」アップ、観光客アップに貢献する。
 真ん中に、広場でも作り、動物でもはなすとなおよい。
 家賃の低下のために、昼と夜は別の人に貸すという手もある。
 お手本は、中近東のスーク(市場)!

3.独立自営都市
〔意味〕
 中央や他の都市と協調はしても、依存はせず、自立した都市を目指す。
〔なぜ?〕
 経済、情報のボーダーレス化が進む中、ともすれば、地方都市は、人材の供給と消費だけの植民地的な地位におとしめられてしまうことが多い(米子の現状もそうだけど)。
 そうならないためには、自立を目指したまちづくりが必要となる。
イメージとしては、砂漠の中の隊商都市!(周辺の農業等で自営できる都市なのだが、旅人や商人にも十分に開かれている)
〔具体的イメージ〕
○政治の自立
・職員意識の改革
・地方分権の推進 → 倒産の自由
・行政効果評価機構による効率的な行政運営
・情報公開(政策アセスメント)による市民参加のまちづくり
・「あまのじゃく」のまちづくり
 地方が中央政府の示した方向にばかり向かっていたのでは、それは中央集権国家と同じことである。地方分権のメリットであるリスク分散のためには、「国の言うことをきかない地方自治体」が必要である(あまり多すぎてもいけないが)。
 そこで、米子がそれになる。常に一定割合(全予算の5%とか)を、国の施策と正反対の施策につぎ込む。
・「やせがまん」のまちづくり
 人間の欲望はきりがないし、それに基づく社会システムもいつかは破綻する。そこで、逆に、「米子は新規施策は一切やらない。他市より施設が劣っていてもがまんします。その代わり、何か突拍子もない事件が起こって、国が大混乱になっても、米子市民が何とか食べていけるくらいの蓄え(お金、食糧等)を貯めます」というやせがまん施策を実行する。「最後に勝つのは、米子だ!」が合言葉!
・補助金を一切受け取らない
 地方自治を破壊する諸悪の根源である、補助金、交付金等を一切受けとらない、という施策を実施してみる。「他人の金で祭りをして何がコミュニティか!」
○経済の自立
・経済収支(貿易)という概念でつねに町の状態をチェックする。
 地域内でお金を回していてもダメ。地域外からお金を得るためには・・・
                「観光」「工場」「通信販売」等を押し進める。
〔例〕日本の中の外国をテーマにした観光資源の開発
   アイデアはあるが資金やノウハウがない者へのベンチャー支援
   アイデア商品を全国に通信販売 etc
   皆生温泉、大山を徹底的に観光開発
・衣、食、住の最低限は、自給できる体制を(危機管理であって、保護ではない)

○文化の自立
・独自の地方文化をもたない都市は、今後衰退していく。何でもいいから、市民や旅人から提起された新しい価値観を定着させ、発展される仕組みを。(新しいもの好き米子の面目躍如!)
・Jリーグチーム等を結成し、市民に活気を!(市民が一つになれるものを何か)


4.よみの国・米子
〔意味〕
 よみの国をテーマとしたまちづくり。
〔なぜ?〕
 米子には、夜見が浜(弓が浜)、夜見町がある。古くは「出雲国風土記」にも
<夜見嶋>の記述があるように、由緒正しき地名である。語源はもちろん「黄泉国」であり、「人の死してかえるところ」である。古代の出雲国は、黄泉国への入口と考えられていたようである。
 「死後の世界」と言うとおどろおどろしいが、みんな最後は死ぬのである。「すべての人が最後にかえっていくところ」と思えば、温かみも伝わってくる。
 現在の超均質な日本に必要なのは、非日常的な場所であり、「聖地」である。よみの国というコンセプトは、演出その他をうまく行えば、「聖地」となる素質を十分備えているといえる。
〔具体的イメージ〕
○「よみの国研究所」の設置
 即物的な西欧合理主義に毒されている「生きている間のことだけを考えた都市計画」ではなく、「死んだ人にも住みやすい(?)まちづくり」の研究は、きっと生きている者へも役に立つ住みやすい町を考える研究となるだろう。「東洋の死後の世界観」をもっとまちづくりに応用してみたい。まちの真ん中に墓地があってもいいと思う。
 また、見方を変えると、「死んだ後の世界」=「子孫たちの世界」であり、死後の世界を大切にするということは、子孫たちのことを十分考えるという「環境問題」にも通じる施策となるであろう。
○新興宗教の誘致
 宗教というと、何かと悪いイメージを持つ人も多いようであるが、宗教というのも、現代においては、「心のサービス産業」と見れば、普通の産業である。巨大宗教の総本山ともなれば、メッカやエルサレム、ローマの例を見ても分かるように、町も活性化する。日本でも天理市や富田林市、金光町など、新興宗教の門前町として栄えているところもかなりある。企業誘致と同様の効果を期待できる(?)。
 将来性のありそうな新興宗教(既存の宗教のメッカにはなれないので)に、土地等を提供して、「宗教の聖地・米子」を売り込む。
○バベルの塔(多層式共同墓地)の建設
 「よみ」と言えば「バビル2世」、バビル2世といえば「バベルの塔」。という訳で、米子の町が見渡せるところ(やはり夜見町がいいかな)、に塔を作る。やはり「よみのくに」ともなれば、昼の姿より夜の姿を見てもらいたい。夜景も綺麗にゾーニングなどをして。
 塔の中身は、共同墓地とする。黄泉国のシンボルとして、墓地の塔というのは、ふさわしい。また、本物のバベルの塔のように、常に未完成で建設中というのも、墓地にぴったりである。
○神話にこだわってみる
 黄泉国といって思い出すのは、やはり、イザナギノミコトが死んだイザナミノミコトを追って黄泉国に行き、追いすがる魑魅魍魎を桃で退けながら、千引岩(ちびきいわ)で通路を閉じて帰ったという逸話である。(千引岩のある「ヨモツヒラ坂」は東出雲町の揖屋の手前にあることになっている。古事記と出雲国風土記で記述が違うが。)
 これに限らず、黄泉の世界を扱った逸話(日本に限らず、東洋、西洋を問わず)を集めて、まちづくりに応用してみる。たとえば、千引岩(ちびきいわ)に模した門がある病院(!)とか、袋小路とか。アベックが寄ってくるかも。
 水木しげるロードや神話がゴロゴロ転がっている島根県と総合的広域的に整備するともっと面白い。
○よみの国をテーマとした「テーマパーク」建設
 誰も死後の世界など誰も見ていないのだから、作ったものの勝ちである。「血の池ウォーター・スプラッシャー」や「針の山メリーゴーラウンド」等いろいろ遊べる。
○ホスピスの整備
 ホスピスというのは、病院と教会や寺との中間の施設で、「いかに死ぬか」を実戦する施設である。現在日本ではまだ数が少ないが、医療機関の多い米子だからこそ、ホスピスの整備に向いているといえる。キッャチコピーは、「死ぬなら米子へ」
 宗教法人の誘致と、バベルの塔ならぬ共同墓地の整備で、アフターフォローも万全である。
○産むなら米子へ
 「死ぬなら米子へ」の反対で、「産むなら米子へ」というPRも行う。洋の東西を問わず、輪廻の思想はあり、「死後の世界=生まれる前の世界」という展開に無理はない。
 このような観念的なPRだけでなく、現実的な出産、子育て支援の施策もそろえて、強力に押し進める。
 以上2つの「死ぬなら米子へ」、「産むなら米子へ」をうまく実施できれば、生まれてから1年間と死ぬまでの1年間の計2年間は、沢山の人が米子に来ることになり、経済、文化の活性化のみならず、「生と死を司る聖地」となれる。